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2007年
ことしは9月25日 金曜日
十五夜について


旧暦と新暦とでは季節感にズレがでてくるのは分かっているけど、仲秋の名月(十五夜)については毎年ずいぶん日にちがまちまちだ、まだ暑さが残る九月の上旬だったり、あるいは、前の年の十三夜のころだったり・・・(昨年は10月6日)、とお気付きのかたも多いと思います。十五夜は月がもっとも姿のよい日ですが、どのようにしてその日が選ばれるのでしょうか。

『満月の日周運動は夏冬、昼夜を逆さにした太陽のそれとほぼ同じ』(世界大百科事典)という公理によれば、
秋分の日(太陽がほぼ真東から昇り真西に沈む昼夜半々の日)に一番近い満月が理想的になります。つまり月が満月で、日が沈むと同時に反対の真東から現れ、中天を経て夜明けと共に真西に隠れる、日月がほぼ同じ軌道になるわけです。


名月や 池をめぐりて 夜もすがら 芭 蕉

夜もすがらとは、夜の十二時間ということでしょうか。当然、春にも同じ現象があります。

菜の花や 月はひがしに 日はにしに 蕪 村

江戸時代まで使用していた旧暦は太陰太陽暦という方式で、1年の長さは太陽の周期で見ます(1太陽年)。ひと月の長さは月の満ち欠け(1朔望さくぼう)で決めます。月の満ち欠けは約29日から30日なので、1年が12ヶ月では収まりません。そこで太陽年に追いつくために何月と決める規定があります。旧暦では、秋分の日を含む月を「八月」とします。つまり、秋分の日がある1朔望の期間が8月です。そしてその月の中の望月(満月日)が15日です。秋分は何日もずれる事はありませんが、十五夜は秋分の日から起算して9月9日から10月8日までのあいだ前後最大30日もずれる幅があるわけです。今年でいえば、秋分の日9月23日を含む月の満ち欠けの期間は、9月11日が旧暦8月1日(朔 新月 ついたち=月立ち)、9月25日が旧暦8月15日(望 満月)、10月10日が旧暦8月30日(つごもり=月篭り)です。秋分の日が満月ならば形としてはパーフェクトといえますが、今年はそれにかなり近いパターン。

秋を三つに分けます。 今年は 旧暦でいえば
初秋 立秋から白露まえ 8月8日〜 9月7日 6月26日〜 7月26日
仲秋 白露から寒露まえ 9月8日〜10月8日 7月27日〜 8月28日
晩秋 寒露から立冬まえ 10月9日〜11月7日 8月29日〜 9月28日

こうした旧暦の仕組みについての詳しくは旧暦についてを読んでください。
この「仲秋」期の中の満月を『仲秋の名月』と呼びます。そして10月23日が旧暦9月13日ということで十三夜です。





[月 雪 花]と申します。昔から和歌俳句、絵や音曲の世界に風雅の至高と称えられてきました。花見があり雪見があるように、月を観て秋の寂寥を楽しむのも日本人が受け継いでいる独特の感性のたま物と言えるでしょう。この日各地で趣味人による観月会が催されます。野外あるいは濡れ縁に鮮やかな緋毛氈が敷かれます。周囲に水を打ち、日没後静寂のうちに客を誘い月の到来を待ちます。酒肴はごく控え目に、主役はあくまでも月、灯火は足元を照らす程度の最小限、三方(さんぼう)に月見団子、秋の野草、虫のすだき、風のさやぎ、茶会であれ酒宴であれ月が西方を指す夜半まで会は粛々と進められます。
十五夜を特に芋名月、十三夜を栗名月あるいは豆名月と呼びます。その時期の旬のものということでしょうが、十五夜についてはもともと里芋(主食としての)の収穫祭という意味合いもありました。

月月に月みる月はおおけれど月みる月はこの月の月
「月」が8つ織り込まれています。

十五夜の前夜を待宵、翌夜から十六夜(いざよい)、立待月 居待月 寝待月とだんだん月の出が遅くなります。とうとう日の出に追いつかれてしまうと有明(ありあけ)の月。十五夜を観て十三夜を観ないのを片月見といって嫌いますが、九月は時期的に無月(雨降り)の日が多く、十三夜の方が秋が深まり空が澄んで月が冴えて、満月よりも少々欠けていて趣きがあるという意見もあります。
家庭で月見を行うときは、月の見える窓、ベランダ、縁側に小さなテーブルを月見台として置きます。月見団子をお皿に、ススキ、里いも、旬の野菜を飾りすぎない程度にならべます。これが一般的だと思います。あとはテレビの音を消して部屋を暗くして(せいぜい間接照明だけにして)親しい人と月の動き、時の経過を静かに楽しみたいものです。


秋の七草 萩・尾花(すすき)・葛・撫子 桔梗・女郎花・藤袴

万葉歌人山上憶良が、萩の花尾花葛花なでしこの花女郎花また藤袴あさがほの花
と、秋の野花を指折り数えた事からくるらしい
読売13.9.9

当店ではこの時期
お月見団子のほかに

仲秋月餅 焼き物
うさぎ 上用饅頭
もち月 求肥製
巨峯だんご 黒糖羊羹製
を発売いたします。 ご利用ください




お月見夜話

中国で唐の時代に仲秋の夜の寂寥と満月を愛でる風習が生まれたのが十五夜の始まりとされ、平安時代の朝廷でこの夜に詩や和歌を詠み管弦をかなでる催しから月見の習慣が固まった。
今のように十五夜にだんごを捧げ、ススキで飾る月見台が登場したのは江戸時代からのようだ。
【近江気象歳時記】

名月は二つ過ぎても瀬田の月 〈芭蕉〉
この句の元禄四年には閏八月があって八月が2回あったので十五夜が2回見られたということ。 最近では1976年1995年がそう。しかし閏月の十五夜はたいがい無視されてしまうのが常。


十三夜をのちの月という。十五夜の時期は秋雨前線の雨雲に阻まれる「無月」が多く、東京のこの夜の過去の晴天率は40%とか。全国的にもほぼ同様の数字だそうです。「十三夜に曇りなし」として長雨の終った頃に再度お月見に臨むのは日本独特の発想で中国にはない。

立って待つ>座って待つ>寝転んで待つ、と夜々に変化してゆくのは、だんだんと月の出の時刻が遅くなって待っているのが辛くなるから。また月の位置が高くなり、家の庇ひさしが邪魔になってくるので視点が下がる。冬に向かうにつれて太陽の軌道は低くなるが、満月のコースは逆に高くなる。冬至のころには満月はほぼ天心を通り冷たい冴えを見せます。

東洋と西洋では月に対する感性が逆転する。東洋では月を愛することが多いが、西洋では月よりもむしろ星のほうを敬愛する。それどころか月に対しては狼男やドラキュラ魔女伝説など忌まわしい物語の背景として利用されることが多い。

暦の日の出日の入の時刻を見ると昼夜半々の日は実際には中日より僅かにずれていて、春は彼岸の入り日ごろ秋は彼岸の明け日ごろ。中日では16分くらいの誤差があります。これは計測上のものと視認によるものの差ということ。

仲秋の十五夜についても、必ずしも旧暦八月朔(一日)から数えて15日目が満々月になるとは限らない。月の軌道の状態で14日目になる年もあるし16日目になる年もある。さらに言えば1870年(M3)から2000年までの131年間で仲秋日旧暦八月十五日の夜の間が満月だったのはたったの49回だけだそうです。暦とは自然界の動きを無理に数値化法則化したものですから仕方ないでしょう。

ご存じの中国菓子「月餅」は本来この日のための食品です。大皿に山盛りにした月餅を中心に、大家族主義の中国では各家族親族が寄り集まって長老を中心に大ホームパーティを開きます。私は先年北京で業界団体同志でいく度か交流を持ち、その時知ったのですが、八月は北京市内8ヶ所ある菓子工場はどこもこの月餅生産の追い込みでたけなわでした。菓子工場は北京に集まっていますが、あの国のあの人口です。その日一日の消費量は大変な数になるそうです。しかも多民族多宗教国家、イスラム教徒には豚肉やラードを使わないタイプを別につくるなど種類も豊富です。信じ難たいことですがこの日のための月餅を半年も一年も前から製造を始めるそうです。そして水を一滴も使わない製法で、大陸の乾燥した空気の中でそのまま倉庫に放置していても日持ちがするのだそうです。日本の多湿気候では考えられない食品感覚です。


中国菓子「月餅」と申しましたが、実は中国には「菓子」という言葉も観念もありません。「果子(カーツー)」という言葉はありますが、これはおもに木の実や砂糖漬けにした果物類をさします。食事以外に休憩や嗜好の目的で、あるいはお茶受けとして何かをつまみにするというどこの国にでもありそうな習慣がどうもないようです。では日本では菓子の部類に入れられてしまう月餅やアンまん肉まんなどはどういう時に食べるのでしょうか。朝の出勤前の朝食にしたり、軽い食事(飲茶の点心)であったり、料理コースの中の一品であったりします。折り詰にしてギフトにすることもあまり見掛けませんでした。
つまみと申しましたが、そういえば酒のつまみの小料理というものにも出会いませんでした。酒を飲むことも食事の一環ということなのでしょうか?